小説

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)(ハヤカワ文庫 冲方丁)

あまりに圧倒的なカジノシーンで話題になったマルドゥックスクランブルの続編がついに登場。 ずいぶん前から蕎麦屋の出前状態だっただけに、発売日が決まったときには耳を疑ったものですよ。 とりあえず、一巻ということでキャラの顔見せと下準備ぐらいだっ…

ボトルネック(新潮社 米澤穂信)

確かに期待通りに面白いんだけど、この物足りなさは何でしょうかね。 基本的には文句なく面白かったんですよ。 平行世界の微妙な違いを積み上げていく過程と、それから導かれる結論、そして結末。 当然のように続きが気になって読むのは止まらないし、結末も…

女子大生会計士の事件簿〈DX.1〉ベンチャーの王子様 (角川文庫)(角川文庫 山田真哉)

ラ板大賞でごたごたした際に紹介されてたのを見て購入。 なんつーか、小説っていうよりも会計をネタにした小話って感じですね。 といっても、会計に関する薀蓄はさわり程度で、「へ〜、そんなのがあるんだ〜」とはなっても「会計っておもしれ〜」とまではい…

The S.O.U.P. (角川文庫)(角川文庫 川端裕人)

ハッカーとクラッカーの戦いを描くネットネタ小説。 よく「ネトゲネタ小説」と紹介されてるのを見るけど、あまりネトゲに重点が置かれてるとは感じませんでしたね。 どっちかというと、コンピュータやネットワークが好きな人の方がニヤリとできる描写が多いか…

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)(角川文庫 筒井康隆)

映画が面白かったので購入。 う〜ん、これって短編だったのね、映画のような一大スペクタクルを期待してたので肩透かし気味。 普段ライトノベルのような派手な話を読んでるせいか、かなりあっさり風味なのも物足りなく感じたしなあ。 時代の違いと嗜好の差っ…

聖遺の天使 (双葉文庫)(双葉文庫 三雲岳斗)

出てるの知らなかったけど本屋で発見したので購入。 なんだろ、歴史物の推理小説っていうんだろうか。 15世紀のイタリアが舞台でレオナルド・ダ・ヴィンチが事件の謎を解く話、歴史には疎いもんで他の登場人物も実在の人なのかなど、フィクションとノンフィ…

魂の駆動体 (ハヤカワ文庫JA)(ハヤカワ文庫 神林長平)

お気に入りの作品で再々々読ぐらい。 この作品の何が好きかっていうと、2章で語られる翼人の魂論が好きなんですよね。 「ここにいるのは魂が望んだからだ」といった概念や、「魂を遊ばせる」とか「魂を駆動させる」といった表現が見事にツボに入ってて、実は…

しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)(新潮文庫 泡坂妻夫)

米澤穂信氏が講演会で「ミステリーを読まない人に一冊本を薦めるとしたら?」という質問で挙げていたので購入。 うむ、たしかにこれはスゴイ。 こんなこと考えて実際に書いてしまった作者に脱帽です。 下手なことを書くとネタバレしてしまいそうなんで、この…

太陽の汗 (ハヤカワ文庫JA)(ハヤカワ文庫 神林長平)

情報通信機ウィンカの故障原因を究明するために派遣されたJHとグレン。調査を続けるうちに二人の認識にズレが生じていき、やがて現実が分裂する…という内容。 少しハードなものが読みたかったので読了。 初期の作品だからか、比較的わかりやすい話だったかな…

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)(ハヤカワ文庫 新城カズマ)

夏期限定の影響で1巻から間が空いてしまったけど、宇宙帝国も銀河戦争もないSF小説の2巻。 1巻でもそうだったけど、衒学的というんですかね、もってまわったような天才少年少女達のSF的議論が面白いですなあ。 作中の悠有の台詞でもあったけど「わからない部…

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)(創元推理文庫 米澤穂信)

待ちに待った小市民シリーズの2巻。 今日これを存分に楽しむために週末スケジュールの調節までしてたんだけど、いやもう期待を裏切らない素晴らしい出来でしたよ。 「シャルロット」のキャラの魅力を前面に押し出した軽いノリ、「シェイク・ハーフ」の謎解き…

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)(ハヤカワ文庫 新城カズマ)

発売日に買ってあったのに寝かし続けてついに読了。 「次世代型作家のリアルフィクション」と銘打つにしては新城氏はベテランすぎると思うのは自分だけだろうか。 まあそれはどうでもいいとして、内容的にはなんてものを開始した高校生5人組の青春的な話。 …

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)(ハヤカワ文庫 飛浩隆)

SF大賞らしいのでよくわからんけど購入、すっかり忘れて数ヶ月寝かせつつも読了。 各話でそれぞれ内容が違う短編集なので、色々と読めて面白かったです。 なんというか、描写がすごいですな。 「デュオ」の音楽、「夜と泥の」の風景、「象られた力」の図形、…

死して咲く花、実のある夢 (ハヤカワ文庫JA)(ハヤカワ文庫 神林長平)

去年の秋の再版時に買ったはいいけどずっと寝かせていた本。 神林作品の中でも評判がいい作品だけあって面白かった。 刻々と変わり続ける世界の中での会話を楽しむといういつもの神林作品で、死の定義・共同意識・情報の伝達といった氏が好きそうなテーマに…

ウロボロスの波動 (ハヤカワ文庫 JA)(ハヤカワ文庫 林譲治)

宇宙モノが読みたかったので購入、降着円盤について何一つ説明がないってことはこの手のSF読む人には常識なんだろうか、なんて思いつつ読了。*1 太陽系に接近したブラックホールに人工降着円盤を作るという壮大なプロジェクトにまつわる物語による連作短編集…

クドリャフカの順番―「十文字」事件(角川書店 米澤穂信)

去年の総括で取り上げたら読みたくなったので再読。 やっぱりこれ面白いなあ。 十文字事件関係のミステリーの部分も面白いけど、それ抜きにして日常系小説としても十分面白い。 各キャラで使い分けられている一人称視点での文体もよくキャラの特徴を表してい…

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)(ミステリ・フロンティア 米澤穂信)

「このミステリーがすごい!」の8位になったらしいけど普段ミステリー読まない人間なんですごいのか大した事ないのかよくわからんけど有名になるのはいいことだ、ということで再読。 再読ということでネタはわかってるので初回のような驚きはなかったけど、…

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)(ハヤカワ文庫 桜庭一樹)

購入時にも書いたけど、この人の小説はこれが初めて。 全体的な構成も面白いと思ったけど、それ以上に作者の考えや感性といったものが面白かった。 「少女」という概念が存在しない過去と未来2つの時代の人が「少女」について語るわけだけど、こういった内容…

鏡像の敵 (短篇集 ハヤカワ文庫 JA (810))(ハヤカワ文庫 神林長平)

絶版の「時間蝕」から一部の作品を抜いて、別の作品を付け足したらしい短編集。 なんで素直に再版と新刊にしなかったのか小一時間(ry 内容的には満足だけど。 収録作のなかでは「ここにいるよ」が好きかな。 3つの種族の設定や、クックルとケロイの関係がい…

リスクテイカー (文春文庫)(文藝春秋 川端裕人)

数日前から読んでいた本。 ビジネススクールをでた若者がヘッジファンドを設立してマネーを稼ごうとする話。 こんな感じのあらすじを読んで、冲方丁のマルドゥック・スクランブルのカジノシーンのような、濃い駆け引き描写満載かと思っていたけど、いい意味…