サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)(ハヤカワ文庫 新城カズマ)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)
夏期限定の影響で1巻から間が空いてしまったけど、宇宙帝国も銀河戦争もないSF小説の2巻。
1巻でもそうだったけど、衒学的というんですかね、もってまわったような天才少年少女達のSF的議論が面白いですなあ。
作中の悠有の台詞でもあったけど「わからない部分もあるけど読んでいて楽しい」ってのがぴったりで、小難しそうな理論をなんとなくわかったような気になれるのがいいのです。
普通に生活をしてたら絶対に考えないような途方もない想像や空想ってのはこの手の小説を読む醍醐味だよなあ。
ストーリーについても、1巻から引き続き未来視点の一人称で煽りまくりな序盤は何が起こるのか続きが気になって仕方なかったし、ついに事態が動き出した中盤以降はここまでの魅力だった部分に加えて手に汗握る展開もあって面白かったです。
特に、未来視点の一人称での冷めた語り口が特徴的だっただけに、「事件」での緊迫した描写は際立って印象的だったです。
ただ、エピローグがものすごく蛇足なように感じたなあ。
そこまでの展開は文句なく面白かったし、Chapter6のラストは余韻が残る綺麗な終わり方だったのに、エピローグのせいで台無しにされてしまった気分。