夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)(創元推理文庫 米澤穂信)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
待ちに待った小市民シリーズの2巻。
今日これを存分に楽しむために週末スケジュールの調節までしてたんだけど、いやもう期待を裏切らない素晴らしい出来でしたよ。
「シャルロット」のキャラの魅力を前面に押し出した軽いノリ、「シェイク・ハーフ」の謎解き、「激辛大盛」の軽妙な会話、「キャンディー」のサスペンス風味と、それぞれの章単体でも十分面白かったんだけど、とにかく長編としての全体の流れの結末がすごすぎです。
各章でチャージしたエネルギー、伏線だけでなく違和感や謎といった読者側の感情、を一気にぶっ放したような壮絶さでした。
作者公式サイトの予定表載っている秋期限定が楽しみでならないです。


以下、ネタバレありなので要注意


今回の巻は章立てになっているだけあって短編的な要素が薄くて、ほとんど1本の長編作品ですね。
「シャルロット」は1つの独立した話として小鳩君と小左内さんの知恵比べが面白かったけど、「シェイク・ハーフ」以降の話は完全に続き物の話だったなあ、と。
個人的には、もう少し春期限定や「シャルロット」のような独立した日常系の短編が読みたかったかな。


まあでもネタバレなしの部分でも書いたとおり、長編としての内容自体はものすごく面白かったから文句はないんですけどね。
特に終章の小鳩君と小左内さんの解決部分のやりとりが過激で壮絶すぎです。
4章のタイトルが小左内さんに向けたものから小鳩君に向けられたものだと判明した瞬間なんてゾクゾクきましたよ。
小左内さんの想像の一歩上をいく狼全開さが、恐ろしいと同時にとっても素敵ですなあ。
で、その後の別れ話は完全に意表を突かれたので、その前のネタバレ部分とは違うインパクトがありましたよ。
最後の一文なんてある種すがすがしいような余韻の残り方だったので、これでシリーズ終了なのかと思ってしまったからなあ。
作者公式サイトに秋期限定の文字があるぐらいだから、幸いなことにまだ続いてくれそうだけど。
秋期限定では二人がどうやって共恵関係に戻るのか、はたまた恋愛関係にまでなってしまうのか(これはないだろうけど)、とにかく楽しみで仕方ないです。