サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)(ハヤカワ文庫 新城カズマ)

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)
発売日に買ってあったのに寝かし続けてついに読了。
「次世代型作家のリアルフィクション」と銘打つにしては新城氏はベテランすぎると思うのは自分だけだろうか。
まあそれはどうでもいいとして、内容的には<時間跳躍少女プロジェクト>なんてものを開始した高校生5人組の青春的な話。
この作品の特徴はなんといっても後日の主人公による一人称視点というフォーマットかなあ。
「あのときは事件が起こるなど考えもしていなかった」というような文があちこちに挿入されているんだけど、これが事件への期待感を煽りまくりなんですよね。
下手をするとじらしすぎで嫌味に思われるような構成なのに、そうは思わせない展開の巧さは流石ですなあ。
それと、読者側の事件が起きることへ期待感と、どこか冷めた主人公の語り口が対照的になっていて、このあたりの温度差もこの作品の魅力な気がする。
あと気になったのは、タイムトラベル物の本のタイトルが大量に出てくる点。
これらの本の内容を知ってたらニヤリとできるんだろうなあ、なんて挙げられている本を全然読んだことのない自分は思うのです。