抗いし者たちの系譜 虚構の勇者 (富士見ファンタジア文庫)(富士見ファンタジア文庫 三浦良)

抗いし者たちの系譜 虚構の勇者 (富士見ファンタジア文庫)
勇者が魔王になっちゃって世界を征服してしまった話の2巻。
前の巻は「勇者が魔王になる」という奇抜な基本設定や、主人公側の謀略によってストーリーが進むことによる爽快感や二転三転する展開が魅力的な作品だったわけで、今回の巻も基本的にはその路線なんだけど出来が少し落ちてたなあ。
前者の基本設定の部分は「かつての勇者が魔王となったならば、今の魔王に対する勇者がいるはず」という今回の主題部分でうまく使われてるからいいんだけど、後者の謀略関係が物足りなかったのです。
全体的に謀略関係の量が少ないような気がしたのと、なんといっても主人公のサラがほとんど活躍しなかったことが不満。
元魔王のラジャスは活躍しまくりでかっこよかったし、頑張ってる宰相スピキオや新キャラのティアもよかったんだけど、個人的にはサラがお気に入りなもんで、活躍が少なかったのは寂しいなあ。
内心は揺れ動いてたり弱気だったりしながらも、涼しい顔をして謀略をめぐらせるサラの雄姿がもっと見たかったです。
あと物足りない部分として、ドラマティックな展開がなかったのもちょっと残念。
前の巻ではその方面でも出来が良かっただけに、今回も期待してたんだけどなあ。
ちなみにこのシリーズ、残ってたり新しく張った伏線があったりするし、冒頭に気合の入った年表が入ってるぐらいだから、この後も続くんですよね。
グダグダにならないか少し心配な面もあるけど、基本的にはスタンダードなファンタジーで面白いんで続刊が楽しみだなあ。


とりあえず後はネタバレありで若干
今回のはタイトルが思いっきりネタバレなんですね。
なかなか大胆なことするよなあ。
途中で挿入される過去話の効果は可もなく不可もなくって感じ。
本編とクロスオーバーさせてるのは悪くはないんだけど、すこしインパクトが足りなかったかな。
ナナについては予想以上に謎な人物だったなあ。
単純にサラを慕ってるだけなんだと思うけど、実は伝伝のルシルみたいな危険思想の持ち主だったなんて展開になったら嫌すぎるな。
あとは、あとがき。
なんでこんなピンポイントな話題で攻めてくるんだろうか。
あまりに唐突過ぎて大笑いしてしまいましたよ。