永遠のフローズンチョコレート (ファミ通文庫)(ファミ通文庫 扇智史)

永遠のフローズンチョコレート (ファミ通文庫)
2006年上半期ライトノベルサイト杯結果ページ」を見て購入。
むう、これは恐ろしく感想が書きにくい小説です。
派手な作品は勢いで押すような感想だから書きやすいんだけど、この手のじわじわとくる作品は文章力の問題で感想が書けないのです…


まず最初に断っておきますが、個人的にはあんまり好きな話ではありません。
基本的にエンターテイメントな作品が好きなので、重い・暗い・救いがないって作品は好きじゃないんですよ。
だけど、面白いか面白くないかでいわれると話は別で、空気に呑まれ圧倒されながら一気に読んでしまうぐらい面白かったです。
紹介文にある「あたしは人殺しなの。いままで、三人殺した」はなんのレトリックでもなく、そのままの意味。
こんなことを平然と言う殺人者の少女と、それを素直に受け止める恋人の少年のぶっ壊れた内面描写がメインの内容で、いちおう青春物って感じだけど、青いってレベルを超越して歪みきったってレベルですね。
で、心理描写の壊れ具合と希望のなさ、なんともいえない非日常感に有無を言わさぬパワーがあるんですよ。
とくに派手なシーンとか盛り上がる場面があるわけでもないのに、全編にわたってとにかく圧倒されます。
ここまで徹底的に歪んでると、ある種すがすがしさまで感じる勢いですよ。