ペリペティアの福音〈下〉聖還編 (ソノラマ文庫)(ソノラマ文庫 秋山完)

上巻(269ページ)と中巻(333ページ)と比べてやけに厚く感じた下巻(479ページ)。
基本的に惑星ペリペティア内での葬式会社と製薬会社の争いが物語の中心だけど、下巻ではこれに加えてペリペティア外での国家間の争いも描かれていたのが厚くなった原因かな。
後者の内容は、この作者の特徴の「全ての話が同一の世界での出来事」のための前フリのような感じだったけど、これはこれでスケールの大きな宇宙モノという感じで面白かったです。
将来の出来事について若干触れたり、思わせぶりに名前だけ登場する事件なんかも色々とあったりして、今後の作品でこのあたりがどう描かれるのかが楽しみなところ。
本筋のペリペティア内での事件はいつものように若干ご都合的だったけど、大帝フォークト関係の謎とよくわからんノリでなかなか面白かったです。
謎に関してはちょっと消化不良でネタばらし後は超展開ぎみだったけど、上巻と中巻では普通に楽しめたのでまあよかったかと。
よくわからんノリはネーミングセンスと文章によるところが大きいかな。
主人公側の葬式会社は宗教的なネーミングが多いのに、やたらと好戦的で言動が激しい人物が多くて、そのあたりのギャップが独特な雰囲気をつくりだしてる感じ。
あと、心理描写が少ないせいか文章があっさりした感じでとにかく淡々と物事が進んでいくので、過激なキャラや強烈な出来事が多いわりにさらりと流される感じで、このあたりのギャップも独特な雰囲気の理由かな。