世界の中心、針山さん (電撃文庫)(電撃文庫 成田良悟)

世界の中心、針山さん (電撃文庫)
いつもと違う雰囲気と思わせて、やっぱり普段どおりの作風な連作短編集。
「としれじぇ」「魔法少女893号」「拝啓、光の勇者様」の一見関係ないと思われる3つの短編が、針山さんを軸として「奇跡の中心、針山さん」で一点に収束していくという構成。
4つの短編で1つの作品になっているけど、最初の3つの短編は単体の作品としても十分に成り立つ出来。
「としれじぇ」は短編内での2つの物語の絡み方が絶妙。
魔法少女893号」は今までの成田作品にないキャラの成長を描いた作品で、主人公の893号や周囲の人のキャラが魅力的。
「拝啓、光の勇者様」は某合宿所に出てくるような電波さん達の中での将馬の描写が面白い。
最後のまとめにあたる「奇跡の中心、針山さん」は、各話に出てきたキャラが続々と登場する先の読めない展開で続きが気になる面白さと、いつもの成田作品らしい物語が収束していく面白さ。
短編を個々で楽しんで、1冊全体の流れも楽しめる、1粒で2度美味しい的な作品だった。